日本
文月
水草・清流
緑鮮やかな水草を表現したらくがん(米粉と砂糖などを練って固めたもの)と、清流を模した有平糖。
土用の丑の日
日本の伝統的な暦でいう「土用の丑の日」は、7月半ばの最も暑く、湿度も高い日にあたる。そんな時こそ、栄養価に富んだウナギの蒲焼を食べたい。甘辛いタレに浸したウナギを焼く香ばしい匂いが街に溢れ、ウナギ屋の店頭には長い列ができる。もっとも、この習慣は、18世紀にウナギの販売促進のために考え出されたという。
隅田川花火大会
日本の夏の夜空は花火で彩られる。なかでも東京の下町で催される隅田川花火大会(7月最終土曜日)は、18世紀からの伝統を持つ夏の風物詩だ。1960年代から70年代にかけて、川の汚染や家屋の密集などから一時中断されたが、78年に復活し、毎年、数十万人の観客を動員している。
水無月
アジサイ
サイコロ状に切った薄紫色のようかんで白餡の芯を飾り、アジサイの花を表す。みずみずしい季節感に、梅雨の憂鬱を忘れる。
入梅
6月を中心とした約1カ月半は、北海道を除く日本列島の雨期「梅雨」である。梅雨に入ることを「入梅」「梅雨入り」という。境内に多くのアジサイが植えられ、“アジサイ寺”と呼ばれる鎌倉の明月院。雨の中で咲くアジサイは、この季節を表す日本的な風景である。
皐月
かしわ餅
餅で餡を包み、かしわの葉でくるんだもの。5月5日の端午の節句に食べる。
鯉のぼり
黒い真鯉は父親、赤い緋鯉は母親、小さな青い鯉は子どもたちを、そして五色の吹き流しは家を意味し、あわせて幸せな家族を表している。「端午の節句」に男児の出世、健康を願って立てる。
葵祭
1000年以上つづく京都の上賀茂、下鴨両神社の祭り。5月15日、平安時代の装束をまとった総勢500余名の行列が、馬、牛車を引き、輿を担いで京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へと向かう。
母の日
5月の第2日曜日の「母の日」に向けて、大量に出荷されるカーネーション。日本では「母の日」に母親へ赤いカーネーションを贈って感謝を表す習慣がある。近年はピンクや黄などの色も人気。
卯月
花見団子
蒸した米粉を杵でつき、餡でくるんだり醤油でつけ焼きにして食べる団子。19世紀頃、花見客に供したのが評判となった。
花見
サクラが開花すると、東京の上野公園などサクラの名所には連日大勢の人が訪れる。美しい花をただ見るだけではなく、サクラの下で飲んだり、食べたり、騒いだりするのが日本流の花見。毎年気象庁からサクラの開花日予想が発表されるほど、淡いピンク色の花を日本人は心待ちにしている。
プロ野球開幕
日本で最も人気のあるプロスポーツであるプロ野球は、セントラル・リーグ6チーム、パシフィック・リーグ6チームによる2リーグ制。開幕から10月に行われる日本一決定戦の日本シリーズまで、長い戦いに入る。仙台市のフルキャストスタジアム宮城。
春の味覚
春の味覚といえば、タケノコ。竹の地中の茎から出た若い芽で、先端が地表に現れるころ掘り出す。タケノコのほかにも、タラの芽、セリ、フキノトウ、ウドなどを使った山菜料理は、春の訪れを感じさせてくれる。
弥生
ひし餅
着色した餅を薄くのばしてひし形に切り、重ねたもので、ひな祭りに欠かせない。
東大寺二月堂 お水取り
奈良市の東大寺二月堂で3月1日から2週間にわたって行われる仏教行事。クライマックスは12日深夜。燃え盛る巨大なたいまつが、暗闇に包まれた二月堂の長い廊下を駆け、群衆に火の粉を振りかける。同じ頃、境内の井戸から仏前に供える水を汲む儀式「お水取り」が静かに行われる。
卒業式
4月に新年度を迎える日本では、3月は卒業式の季節。小学校からの長い学校生活に終止符を打つ大学の卒業式は、いよいよ社会に旅立つ大きな節目となる。最近は20世紀初めの女学生をまねた、着物に袴姿の女子学生が目につく一方、さまざまに趣向を凝らした仮装で出席する学生が目立つ卒業式もある。
如月
紅梅
早春の花、紅梅を映した生菓子。餡に小麦粉を入れて蒸した生地に、紅色がほんのりさして美しい。
さっぽろ雪まつり
2月上旬から中旬にかけて、北海道の札幌市で雪の祭典が開催される。会場の大通公園には、毎年、テレビの人気キャラクターや世界の有名な建築物など、150基を超える巨大な雪像が立ち並ぶ。コンサートなどのイベントも行われ、夜には、色とりどりの照明で雪像が幻想的に照らし出される。
節分
冬から春へ、季節の分かれ目の2月3日に災厄を追い出し、福を招く行事を「節分」という。この日、どの家も「鬼は外、福は内」と大きな声で言いながら、炒った豆をまく「豆まき」をする。大きな神社や寺院では、有名芸能人やスポーツ選手などを招いて、盛大に豆まきを行う。
睦月
はなびら餅
蜜煮したゴボウと味噌餡を餅皮にはさんだ、新年の菓子。もともとは宮廷の正月の儀式に用いられた。
初詣
家族の健康や仕事の発展、世界の平和などを祈願するために、年明け早々に神社やお寺に参拝すること。昔は大晦日の除夜の鐘を聞きながら社寺に参拝していたが、今は三が日の間に詣でることが多い。東京の明治神宮、千葉の成田山新勝寺、神奈川の川崎大師、京都の八坂神社、大阪の住吉神社などの有名な寺社は数百万の人出で賑わう。
新年一般参賀
1月2日、ふだんは入れない皇居の中に入って、皇居の宮殿東庭に面したバルコニーから手を振る天皇一家に、新年のあいさつができる。第2次世界大戦後、国民のだれもが年賀のあいさつのために皇居を訪れることを許されるようになった。
元日(おせち料理)
おせち料理は、正月三が日(1月1日~3日)に食べる料理のこと。三が日食べられるように、日もちのいいものをそろえる。マメ(健康)に暮らせるようにと黒豆を煮たり、子孫が繁栄するようにとニシンの卵の「数の子」を入れたりと、一つひとつの料理に家族の幸せを願う気持ちが込められている。
五目ご飯の作り方(4人分)
1 ボウルに米540ミリリットルを入れてたっぷりの水を注ぐ。ひと混ぜして水を捨て、軽く混ぜてまた水を注ぎ、すぐに捨てる。これを2~3回くり返してざるに上げ、水気をきる。
2 鍋に1と、かつお節でとっただし500ミリリットル、醤油・みりん・酒各大さじ2を合わせた調味液を入れて30分ほどおく。
3 鶏もも肉1/2枚は一口大に切る。にんじん50グラムは皮をむいて薄いいちょう形に切り、ゆでた筍100グラムも同様に切ってさっと湯通ししておく。しめじ100グラムは石づきを落としてほぐす。
4 2の鍋に3の具を、かたよらないよう全体に散らばしてのせる。強火にかけ、沸騰したらすぐに弱火にして約15分炊き、火を止めてふたをしたまま10~15分間おいて蒸らす。
5 しゃもじで上下を返し、具とご飯を均等になるように混ぜ合わせる。
森の恵みあれこれ
家具
木目が美しく、割れにくいキリ、カツラ、ケヤキは、家具や工芸品に適している。これはケヤキの飾り棚。
キノコ・山菜
キノコや山菜は、食用にできるものだけで数百種類にもなる。キノコは、マツタケが、トリュフより珍重されている。
漆器
独特の光沢と堅牢さをもつ漆器は、日本の伝統工芸品のひとつ。漆器の名産地は石川県の輪島をはじめ、全国に数多い。
和紙
和紙は、コウゾ、ミツマタなど繊維分の多い植物から作られる。おもに住宅の障子や襖に用いられ、書道や茶道でも使われる。
伏流水
日本には、至るところに水が湧いている。広大な森林には、膨大な地下水が貯えられているのだ。
木の葉
昔から、料理を彩り、風味をつけるために添えられてきた紅葉や笹。今では年商2億円も売り上げる企業も現れ、新たな“森の恵み”となっている。
傘地蔵
貧乏なお祖父さんとお祖母さんがいました。
「傘を売って食べ物を買って来るよ。」
お祖父さんは雪の中をでかけて行きました。
「傘はいらんかね。傘はいらんかね。」
傘を買う人は誰もいまあせん。
「今日はさっぱりだ。家に帰るとするか。」
途中の道にお地蔵様が立っていました。
「お地蔵様、雪の中で寒かろう。」
お祖父さんはお地蔵様に傘をかぶせました。ところが一つだけ傘がたりません。
「お地蔵様、これで勘弁してくだされ。」
お祖父さんは自分がかぶっていた傘をぬいで、お地蔵様にかぶせました。
「これでお地蔵様も寒くないだろう。」
「婆様、今日は傘が一つも売れんかった。帰り道お地蔵様が寒そうだったので、傘を全部お地蔵様にかぶせて来たよ。」
「それはそれは爺様よいことをしましたね。中に入ってはやくあったまってくださいな。」