日本
神無月
栗の焼き菓子
栗の蜜煮を栗の餡で包み、焼き上げたもの。この季節には、全国各地でさまざまな種類の栗菓子が出回る。
稲刈り
秋の澄んだ青空のもと、重そうに実をつけた稲穂が黄金色に輝く頃、稲刈りが始まる。日本の秋の伝統的な風景だ。現在は機械化が進み、多くの水田では稲刈り機での収穫が一般的となっている。
運動会
小学生にとって「秋の大運動会」は一大イベントである。全学年が赤と白の2組に分かれ、かけっこ、リレー、玉入れ、綱引きなどを競い合う。また、子どもたちは何週間も前から練習に励み、応援に駆けつけた家族の前で、組体操や踊りなどの演技を披露する。
長月
おはぎ
蒸した餅米を餡で包んだもので、彼岸の供物に用いる。ハギの花に似ていることからその名がついたという。
台風(二百十日)
9月初めの「二百十日」は、2月4日頃の春が始まる日「立春」から210日目。稲が開花する時期にもあたるが、台風がよく襲来するので、風害が起きないように祈る祭りが各地で行われてきた。北西太平洋上で発生する台風は、中心付近の最大風速が17.2m/s以上となる熱帯低気圧で、風害や水害、高潮などの被害をもたらす。強風でなぎ倒された木々。
十五夜
旧暦8月15日の夜の月は、一年を通じ最も美しいといわれる。その「十五夜」には、団子やサトイモ、酒、ススキなどの秋の草花を供え、月見をする。地域によっては、祖先の霊を祀ったり、秋の収穫に感謝したりする祭りとあわせて営まれるところもある。子どもたちが供物を盗むことを歓迎する習慣もあるという。
防災の日
1923年9月1日に起きた関東大震災の教訓を生かそうと、1960年に制定された記念日。また、台風が多発する時期とも重なるので、地震や台風などの自然災害に備えようとの意味がこめられた。この日は日本各地で自治体が中心となり、消防機関、地域住民、企業などが参加して防災訓練が行われる。
葉月
水ようかん
寒天と餡をようかんより少なめにして作る水ようかんは、水分が多く、のどごし爽やか。暑い季節でも食べやすい。
五山の送り火(京都市)
16日の夜、京都を取り巻く山々では、祖先の霊を送るため、文字や船などをかたどった火が灯される。中でも大文字山の「大」の字が最も有名で、この行事全体が「大文字焼き」とも呼ばれている。
青森ねぶた(青森市ほか)
重さ4トンにもなる、和紙の人形「ねぶた」の周りを「ハネト」と呼ばれる踊り子が乱舞する。「ねぶた」の迫力と6日間で延べ20万人にも及ぶ「ハネト」の熱狂はすさまじい。
文月
水草・清流
緑鮮やかな水草を表現したらくがん(米粉と砂糖などを練って固めたもの)と、清流を模した有平糖。
土用の丑の日
日本の伝統的な暦でいう「土用の丑の日」は、7月半ばの最も暑く、湿度も高い日にあたる。そんな時こそ、栄養価に富んだウナギの蒲焼を食べたい。甘辛いタレに浸したウナギを焼く香ばしい匂いが街に溢れ、ウナギ屋の店頭には長い列ができる。もっとも、この習慣は、18世紀にウナギの販売促進のために考え出されたという。
隅田川花火大会
日本の夏の夜空は花火で彩られる。なかでも東京の下町で催される隅田川花火大会(7月最終土曜日)は、18世紀からの伝統を持つ夏の風物詩だ。1960年代から70年代にかけて、川の汚染や家屋の密集などから一時中断されたが、78年に復活し、毎年、数十万人の観客を動員している。
水無月
アジサイ
サイコロ状に切った薄紫色のようかんで白餡の芯を飾り、アジサイの花を表す。みずみずしい季節感に、梅雨の憂鬱を忘れる。
入梅
6月を中心とした約1カ月半は、北海道を除く日本列島の雨期「梅雨」である。梅雨に入ることを「入梅」「梅雨入り」という。境内に多くのアジサイが植えられ、“アジサイ寺”と呼ばれる鎌倉の明月院。雨の中で咲くアジサイは、この季節を表す日本的な風景である。
皐月
かしわ餅
餅で餡を包み、かしわの葉でくるんだもの。5月5日の端午の節句に食べる。
鯉のぼり
黒い真鯉は父親、赤い緋鯉は母親、小さな青い鯉は子どもたちを、そして五色の吹き流しは家を意味し、あわせて幸せな家族を表している。「端午の節句」に男児の出世、健康を願って立てる。
葵祭
1000年以上つづく京都の上賀茂、下鴨両神社の祭り。5月15日、平安時代の装束をまとった総勢500余名の行列が、馬、牛車を引き、輿を担いで京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へと向かう。
母の日
5月の第2日曜日の「母の日」に向けて、大量に出荷されるカーネーション。日本では「母の日」に母親へ赤いカーネーションを贈って感謝を表す習慣がある。近年はピンクや黄などの色も人気。
卯月
花見団子
蒸した米粉を杵でつき、餡でくるんだり醤油でつけ焼きにして食べる団子。19世紀頃、花見客に供したのが評判となった。
花見
サクラが開花すると、東京の上野公園などサクラの名所には連日大勢の人が訪れる。美しい花をただ見るだけではなく、サクラの下で飲んだり、食べたり、騒いだりするのが日本流の花見。毎年気象庁からサクラの開花日予想が発表されるほど、淡いピンク色の花を日本人は心待ちにしている。
プロ野球開幕
日本で最も人気のあるプロスポーツであるプロ野球は、セントラル・リーグ6チーム、パシフィック・リーグ6チームによる2リーグ制。開幕から10月に行われる日本一決定戦の日本シリーズまで、長い戦いに入る。仙台市のフルキャストスタジアム宮城。
春の味覚
春の味覚といえば、タケノコ。竹の地中の茎から出た若い芽で、先端が地表に現れるころ掘り出す。タケノコのほかにも、タラの芽、セリ、フキノトウ、ウドなどを使った山菜料理は、春の訪れを感じさせてくれる。
弥生
ひし餅
着色した餅を薄くのばしてひし形に切り、重ねたもので、ひな祭りに欠かせない。
東大寺二月堂 お水取り
奈良市の東大寺二月堂で3月1日から2週間にわたって行われる仏教行事。クライマックスは12日深夜。燃え盛る巨大なたいまつが、暗闇に包まれた二月堂の長い廊下を駆け、群衆に火の粉を振りかける。同じ頃、境内の井戸から仏前に供える水を汲む儀式「お水取り」が静かに行われる。
卒業式
4月に新年度を迎える日本では、3月は卒業式の季節。小学校からの長い学校生活に終止符を打つ大学の卒業式は、いよいよ社会に旅立つ大きな節目となる。最近は20世紀初めの女学生をまねた、着物に袴姿の女子学生が目につく一方、さまざまに趣向を凝らした仮装で出席する学生が目立つ卒業式もある。
如月
紅梅
早春の花、紅梅を映した生菓子。餡に小麦粉を入れて蒸した生地に、紅色がほんのりさして美しい。
さっぽろ雪まつり
2月上旬から中旬にかけて、北海道の札幌市で雪の祭典が開催される。会場の大通公園には、毎年、テレビの人気キャラクターや世界の有名な建築物など、150基を超える巨大な雪像が立ち並ぶ。コンサートなどのイベントも行われ、夜には、色とりどりの照明で雪像が幻想的に照らし出される。
節分
冬から春へ、季節の分かれ目の2月3日に災厄を追い出し、福を招く行事を「節分」という。この日、どの家も「鬼は外、福は内」と大きな声で言いながら、炒った豆をまく「豆まき」をする。大きな神社や寺院では、有名芸能人やスポーツ選手などを招いて、盛大に豆まきを行う。
睦月
はなびら餅
蜜煮したゴボウと味噌餡を餅皮にはさんだ、新年の菓子。もともとは宮廷の正月の儀式に用いられた。
初詣
家族の健康や仕事の発展、世界の平和などを祈願するために、年明け早々に神社やお寺に参拝すること。昔は大晦日の除夜の鐘を聞きながら社寺に参拝していたが、今は三が日の間に詣でることが多い。東京の明治神宮、千葉の成田山新勝寺、神奈川の川崎大師、京都の八坂神社、大阪の住吉神社などの有名な寺社は数百万の人出で賑わう。
新年一般参賀
1月2日、ふだんは入れない皇居の中に入って、皇居の宮殿東庭に面したバルコニーから手を振る天皇一家に、新年のあいさつができる。第2次世界大戦後、国民のだれもが年賀のあいさつのために皇居を訪れることを許されるようになった。
元日(おせち料理)
おせち料理は、正月三が日(1月1日~3日)に食べる料理のこと。三が日食べられるように、日もちのいいものをそろえる。マメ(健康)に暮らせるようにと黒豆を煮たり、子孫が繁栄するようにとニシンの卵の「数の子」を入れたりと、一つひとつの料理に家族の幸せを願う気持ちが込められている。